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年の瀬のこと。
「風邪をひきそうだから」と気乗りしない様子の母を引っ張り出して小国の温泉へ。

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お湯につかりながら、昔話。

70年も前の母の幼少の思い出から語ってもらった。

戦争の強制撤去で駅前の店を無くし、失意の中で亡くなったという彼女の父。

お嫁に来て、お姑さんから投げかけられたキツイ一言。

(おばあちゃーん、お母さんは半世紀経っても、まだ根に持っていますよ~)

定番は、父との長い恋愛期間のエピソード。

 

小国で立ち寄ったカフェには、ナンテンが飾られていた。

難を転ずる木。

術を持たなかった古の人たちが、すがる思いを託してきたんだろうな。

 

帰りに、私も産直のお店で一枝買って帰り、お正月を迎えた。

野趣あふれる、大胆な枝ぶりが力強い。

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いずこにも、今年も難が訪れませんように。


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【もり じゅん】