例えば、太古の昔から手つかずの原生林を皆伐することは問題があるでしょう。
しかし、日本には人の手が加わっていない森はおそらくありません。
世界自然遺産の白神山地や屋久島でさえ
江戸時代にはある程度の規模で伐採されていた記録があります。

植生がどのように遷移して森林になるか、森林がどのように変化するのかは
気候帯と標高、地域などの条件である程度決まってきます。
その植生や森林の遷移段階がそれぞれの環境に適応した生物の住処となります。

図 1枚目 鳥類の生体的ニッチと森林遷移
図 2枚目 森林遷移
※著作権があるため、URLの紹介にとどめます。
 米国のサイエンティフィック・アーティストの方のサイトです。

生物多様性の側面からは、高齢の森林ばかりではなく、
草地や若い森林、針葉樹や広葉樹、それが混ざった森と
様々な環境がある程度の地域の中にあることが大切になります。

森林の多面的機能の側面をみても、すべての機能を最大限に
発揮できる年齢の森なく、若い森の方がCO2の吸収力は高く、
壮年層になると土砂崩れを防ぐ機能などを発揮し、
枯死木ですら生き物の住処になると大切にされます。

このようなことを踏まえると、少なくとも今のような
高齢の人工林ばかりという状況が良いことでないということは明らかです。
そのため、どのような森を、どのように皆伐するのか、その後
その土地をどうするのか、冷静に見極めなければならず、
単純に皆伐=悪とは言えません。

(かわさき)