ふくおか森づくり日記

ふくおか森づくりネットワークのブログ

2020年05月

身近な問題と世界の問題5:オリンピック

少し横道にそれますが、
オリンピックを機になぜ森林認証制度を広めているのか。

スポーツの祭典として広く認識されるオリンピックですが
開催国では大規模施設の準備、人の移動への対応が必要になります。
国際オリンピック委員会では、オリンピック開催に当たって
すべての側面で持続可能性に配慮することを目標にあげています。
開催国ではIOCの定めるガイドラインに沿った資材調達基準を定めますが
木材調達の面では、過去7大会で使用された木材の9割以上が
森林認証を受けた木材であったそうです(参考文献)。
オリンピックを機にした森林認証制度の普及推進は、
日本がこの国際基準をクリアするための布石でもありました。

IOC スポーツ、環境、持続可能な開発のためのガイド(日本語版)
https://www.joc.or.jp/eco/guidebook2008.html


では、オリンピックを機に日本社会で木材調達のあり方が劇的に変わるのか?

東京大会に先んじて、天然資源にまつわる問題に特化した団体から
東京の大手ゼネコンの建設現場で使用されるコンクリート型枠用合板の調達先が
マレーシアの熱帯林破壊をすすめ、
原住民との紛争を抱える企業であることが指摘されていました。

衝突する二つの世界/グローバル・ウィットネス(2014年12月)
https://www.globalwitness.org/olympicsjp/
※大変興味深いので是非ご覧ください。動画もあります。


しかしながら、東京大会の木材等調達基準について、
国際水準に著しく劣るものであるとの意見書が
2019年にFoEジャパンから、2020年にWWFから提出されています。
世界的な木材消費国の一つとして、数十年に一度の国際的イベントを機にしても
変われなかった問題を今後どのように改善していけるのか、根の深い問題です。


参考文献:
概説 森林認証/安藤直人ら/2019/青海社

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上の話題に関連して下記のオンラインセミナーをご紹介します。

木材デューディリジェンスセミナー(オンライン):
持続可能な木材調達のためのサプライチェーン管理
日 時:2020年6月1日(月)13:00~17:00
※要申し込み
https://www.fairwood.jp/news/pr_ev/2020/200422_ev_DDseminar.html


(かわさき)

5/29(金)「良心の実弾~医師・中村哲が遺したもの~」

掲題の番組が、福岡・佐賀で放送されるそうです。
テレビは午前、ラジオは夜。
2020/5/29(金)am10:10~11:05 KBC九州朝日放送(TV)
                        pm 9:15~10:00  KBCラジオ
以下の新聞記事で知りました。
「KBCが中村哲さんの足跡追うドキュメンタリー」
{朝日新聞} 
https://www.asahi.com/articles/ASN5V7JXWN5VTIPE005.html

全国放送では6月下旬 テレビ朝日系列 テレメンタリー2020
で30分に再編成しで放送予定とのことです。

ペシャワール会のホームページにもご紹介ありました。

身近な問題と世界の問題4:消費者として

目に見える森の皆伐は気にしても、手に取る木材由来の製品、
家や家具など木材そのものだけでなく、炭、紙などが
どのような森から来たのか、環境に悪影響を与えていないか
日々気にして過ごしているという方は少ないでしょう。

さて、そもそも日ごろ購入する木材由来の製品の原料が
どのような森から来ているのか調べることはできるのでしょうか。
日本のように多くの木材を輸入する国ではなおさらです。

それを可能にしたのが環境認証のひとつ森林認証制度です。
森林認証制度のさきがけFSCは、ここ数年の間で
2020東京オリンピックに向けて普及を強化したので
スーパーやコンビニなどでだいぶ見かけるようになってきました。
写真のロゴマークを見たことはないでしょうか?
FSC(34)

FSC(森林管理協議会)は熱帯林保護のための不買運動を背景に
自然保護NGOによって1993年に設立されました。
不買という手段ではなく、認証マークによって
環境的・社会的に適切な管理がされた森林からの
木材とそれ以外の木材を見分けて、よりよい木材由来の製品を
消費者が選択することを促す仕組みです。
FSCの活動は国連開発計画SDGsの14個も該当するほど
幅広い活動を世界中で展開しています。

(かわさき)

身近な問題と世界の問題3:皆伐は悪なのか?

例えば、太古の昔から手つかずの原生林を皆伐することは問題があるでしょう。
しかし、日本には人の手が加わっていない森はおそらくありません。
世界自然遺産の白神山地や屋久島でさえ
江戸時代にはある程度の規模で伐採されていた記録があります。

植生がどのように遷移して森林になるか、森林がどのように変化するのかは
気候帯と標高、地域などの条件である程度決まってきます。
その植生や森林の遷移段階がそれぞれの環境に適応した生物の住処となります。

図 1枚目 鳥類の生体的ニッチと森林遷移
図 2枚目 森林遷移
※著作権があるため、URLの紹介にとどめます。
 米国のサイエンティフィック・アーティストの方のサイトです。

生物多様性の側面からは、高齢の森林ばかりではなく、
草地や若い森林、針葉樹や広葉樹、それが混ざった森と
様々な環境がある程度の地域の中にあることが大切になります。

森林の多面的機能の側面をみても、すべての機能を最大限に
発揮できる年齢の森なく、若い森の方がCO2の吸収力は高く、
壮年層になると土砂崩れを防ぐ機能などを発揮し、
枯死木ですら生き物の住処になると大切にされます。

このようなことを踏まえると、少なくとも今のような
高齢の人工林ばかりという状況が良いことでないということは明らかです。
そのため、どのような森を、どのように皆伐するのか、その後
その土地をどうするのか、冷静に見極めなければならず、
単純に皆伐=悪とは言えません。

(かわさき)

樹木の花たち4

山を歩いていると足元に落ちている藤の花の
鮮やかさにはっとすることがあります。
木々に巻き付いて高い位置に咲かせているので森の中からは届きません。

桜が有名な舞鶴公園も片隅に藤棚があります。
今年は4月下旬に咲き始めて、温かかったこともあり
1週間もしないうちに散り始めてしまいました。
fuji1 - コピー
棚に据えられた藤と自由にうねる藤のどちらが美しいでしょうか。
花が落ちたばかりの藤の実はよく見ると細い茄子か
三度笠を被った何かの集団のように見えます。
fuji2 - コピー


福岡県の藤の名所といえば八女市黒木町の大藤。
今年は感染症対策で花を刈らざるを得なかったと悲しいニュースもありました。
来年は古木のうねりの優雅さに映える藤の花を楽しめると良いですね。

(かわさき)

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